73rd Entrance Ceremony Speech第73回入学式 式辞

今を盛りに咲き競う花々と奥武蔵の山々の緑もまし、今年も希望に満ちた春が巡ってきた今日の佳き日に、学校法人 山村学園 理事長 岡 實 様、学校法人 山村学園 法人本部長 山村 正己 様をはじめ学校関係者、並びに御来賓そして保護者の皆様のご臨席の下、令和五年度 学校法人 山村学園・山村国際高等学校 第73回入学式が挙行できますことは、教職員一同このうえない喜びであります。

ただ今、呼名をされました329名の皆さんに入学を許可いたしました。ご入学おめでとうございます。
また、お子様を日々温かく見守り、育(はぐく)んでこられました保護者の皆様の喜びも一入(ひとしお)のことと心からお祝い申し上げます。
誠におめでとうございます。

本学園は、大正11年9月1日「裁縫手芸伝習所 山村塾」として創設されて以来、様々な変遷を経て、昨年度学園創立100周年を迎える名実とともに伝統と光輝ある高等学校として発展してまいりました。
現在、本年11月14日に、ベルーナドーム(西武球場)にて記念式典及び記念イベントを開催するための準備を進めております。

この100年の間、校訓である「質実・英知・愛敬」による素直な気持ちと感謝の気持ち、高い知性と優れた想像力、そして、人を慈しみ尊敬する心をもった社会に貢献できる人間性豊かな人材の育成に励ん(はげ)で参りました。
そこで、新入生の皆さんは、本日から山村国際高等学校での生活を始めるにあたり、向こう3年間心にとめておいて欲しい「3つの心」について、お話いたします。

まずは、「自ら学ぶ心」です。高校と義務教育の違いは、「自ら学ぶ意志を持った者だけが在籍を許される」ところにあります。高等学校では、小学校・中学校の義務教育以上に、学ぼうとする意志が求められます。学校は勉強する場です。その根本(こんぽん)は授業です。そのため、日々の授業を大切にしてください。
授業内容もより専門化してきます。授業を確実に理解するには、真剣に臨むことが不可欠です。人間の身体は、毎日トレーニングすることによって、強靱な筋力や素早い動き、持久力などがついてきます。
それと全く同様に「頭脳」についても、毎日の学習習慣が神経回路を複雑化させ柔軟な思考力や学力の向上に繋がるものです。
こうした、日々の努力が、1、2年後には大きな差となって表れてきます。学び続ける努力こそ、その人の才能です。
「素質の差は小さく努力の差は大きい」ことを心に刻んでください。

2つ目は「感動する心」です。高校生活の中で数々の「学びや挑戦」を重ねることで、感動する心が培われます。
「学び」をとおして新しい発見や知る喜び、分かる喜び、真(まこと)・善(ぜん)・美(び)に触れる喜びを体験してください。
特に、部活動では、厳しい練習や稽古そして不可能とも思えることに果敢に挑戦し、全国大会優勝やコンクール・コンテストで上位入賞を目指し、その目標を達成することで、成就(じょうじゅ)感・達成感・自己有用(ゆうよう)感に接し、心が打ち震えるような感動や喜びに浸(ひた)ってください。この感動する心をとおして、本物の価値観や人生観を養うことができるのです。幸い、本校では自己実現を目指して、県内外で活躍する多くの部活動があります。
特に、令和2年度・4年度に全日本ブラスシンフォニーコンクール優勝の吹奏楽部、令和3年度・4年度と2年連続で全国高等学校ダンス部選手権優勝のダンス部、全国高等学校総合文化祭31回出場のバトントワーリング部をはじめ、多くの部活動が高い評価を得ております。

3つ目は、「思いやりの心」です。
論語第15編の中で、弟子の一人が孔子に次のような質問をしました。「生涯行うにふさわしいことは何ですか。」それに対して孔子は「如(思い遣り)」である。と答えました。
また、郷土埼玉の偉人であり、近代実業界の父とも仰(あお)がれている渋沢栄一翁は、論語を生涯の行動規範として実践した人であります。
その彼が最も大切にした言葉が、「忠恕(真心と思い遣り)」であり、各種銀行や企業経営の根本に据えてきたと言われています。
心は、そのままでは見えませんが、心遣いや思い遣りとなれば見えます。友に対する「思い遣りの心」を持ちお互いを認め合うそんな、気概が大切なのです。
これからの生活は、皆さん一人一人の夢の実現に向け動いていきます。WBCで優勝した「侍JAPAN」は、野球を通して、私たちに感動と勇気を与えてくれました。
また、夢を実現するためには、決してあきらめてはいけない。という、皆さんの生活にも繋がるメッセージも残してくれました。

是非とも、お話申し上げました「3つの心」を大切に充実した3年間を送っていただきたいと思います。
次に、保護者の皆様にお願い申し上げます。
私たち教職員は、お預かりしたお子様の成長や夢の実現に向け全力で支援いたします。そのためにも、本校の教育活動に対するご理解・ご協力を賜り、ご家庭と学校との揺るぎない信頼・連携が構築できるよう努めて参ります。
結びに、新入生の皆さんの活躍を期待するとともに、ご臨席の皆様方のご健勝・ご発展をご祈念申し上げ、式辞といたします。

令和5年4月7日
学校法人 山村学園 山村国際高等学校
校長 中山 達朗