72nd Graduation Ceremony Speech第72回卒業式 式辞

奥武蔵の山々から吹く風も和らぎ、厳しい冬の寒さに耐えてきた木々の芽が膨らみを増し、今年も新たな希望に満ちた春が巡ってまいりました。
ここに、学校法人山村学園理事長 岡 實様同じく法人本部長 山村 正己様をはじめ、多数の御来賓、保護者の皆様のご臨席を賜り、令和4年度学校法人山村学園 山村国際高等学校第72回卒業式が厳粛に挙行できますことは、教職員一同この上ない喜びであります。

ただ今、卒業生235名の皆さんに卒業証書を授与いたしました。
そのときの卒業生の表情から、山村国際高等学校三年間の課程を修了した満足感と達成感を感じました。
卒業生の皆さんは、三年前、自らの夢と大きな希望を胸に抱き、入学いたしました。以来、校訓である「質実」「英知」「愛敬」のもと、三年間の学びをとおし、素直な気持ちで高い知性と優れた想像力を発揮し、他者に対する尊敬の心を備えた社会に貢献できる人材として、一回りも二回りも成長し、明日からは、それぞれの道へと旅立ちます。
この意義深い門出にあたり、心から幸多かれとお祈りいたします。
またこの間、陰に陽にお子様を育み支えてこられた保護者の皆様方にも改めてお祝い申し上げます。誠におめでとうございます。

こうした慶びの日に当たり、餞の言葉を二つ申し上げます。
現在我が国は、国内外に多くの厳しい問題を抱えつつ、難しい選択を迫られています。これまで、安心・安全・不変と思われていたことが次々と崩れ、世界は「変化の激しい、先行き不透明な時代」が続くことが予想されます。
特に、ロシアのウクライナ侵攻以降、平和に対する危惧が懸念される中、皆さんには、今世紀を心豊かで平和な住みよい社会を構築するという使命が託されています。
さらに新型コロナウイルス感染症は、依然難しい局面にあります。
国内で最初に感染者が確認されてから三年余り私たちの生活様式・習慣は大きく変容し労働環境や雇用の悪化、さらに経済成長率の停滞など社会全体の活力が奪い去られてしまいました。
また、その影響は、学校現場にまで広がり、皆さんは、入学早々全国一斉の臨時休校からはじまり、オンライン授業、分散・時差登校、部活動の大会やコンクール・コンテスト・学校行事の縮小など、従来の教育活動とは、かけ離れた状況下で学校生活を送ってきました。
こうした中、日々の生活に不安や戸惑いを抱きつつも、自らの夢を追い求め、学習や部活動で常に前を向き続けてくれました。
進路では、目標達成に向け、毎晩遅くまで演習問題や論文作成などに取組み、自らの夢を実現させました。
三年ぶりに保護者の方を招いて開催した紫藤祭では、最高の笑顔で山国生らしさを存分に発揮してくれました。
そして、多くの制約の中で工夫を凝らして取り組んだ部活動では、力の限りの演技・演奏そしてパフォーマンススタンドや観客席からの歓声はありませんが、力の限りを出し尽くした皆さんの思いは、多くの人々に熱い感動と勇気を与え、心に残るものとなりました。
このような厳しい環境の中で、多くの友と自己実現に向け努力した時間は、生涯の宝であり、これから始まる新しいステージの大きな力になります。
私は校長として、このコロナ禍で様々な教育活動に真摯に取り組んだ皆さんを自慢の卒業生として誇りに思っております。そして、今後のご活躍を大いに期待しております。

二つ目は、「学び続ける心」を持ち続けて欲しいということです。古い知識や前例が通用しない現代社会を逞しく生き抜くためには、日々学び続けることが大切です。学びの継続により、確かな理解力・判断力が身につき、変化する社会へ柔軟な対応ができるようになるのです。
さらに、夢を実現させ、豊かな人生を構築するための原動力になるのです。
進化論を唱えたチャールズ・ダーウインは、「強いものが生き残れるのではない。賢いものが生き残れるものでもない。変化に適応できるものが、唯一生き残れるのである」と言っております。
既成の固定概念だけではなく、前例や確実・不変と思われていたことを超えて、時代や社会的背景を的確に捉え、その状況に準じた新たな情報収集能力が 求められのです。こうした、学びの習慣こそが、変化する社会へ適応できる唯一の方法です。
結びに、保護者の皆様にお礼とお願いを申し上げます。入学以来、この三年間、ときには厳しく、ときには温かく、そして、優しくお子様を励まし支えていただくとともに、本校の教育活動に絶大なるご理解とご協力を賜りましたことに心から御礼申し上げます。
親という文字は、「立つ木を見る」とあります。三年前お預かりしました幼木が「若木」として立派に成長いたしました。自信を持って保護者の皆様へお戻しいたします。私は、卒業生の皆さんの学習活動・部活動・生徒会活動・ボランティア活動など学年を追うごとに成長し、それぞれの場面でリーダーシップを発揮する姿に感動を受けるとともに頼もしさを感じました。

このように成長を遂げた「若木」がしっかり根を張って、より成長し、成木となるまで、少し距離をおいたところから温かく見守っていただきますようお願い申し上げます。
卒業生にとりまして「山村国際高等学校」は、生涯の母校です。
現在国を挙げて教育改革を進めている中、本校におきましても自己改革の施策に取り組み、卒業生が母校としてさらに自慢できる学校づくりに邁進することをお約束します。

それでは、卒業生の益々のご健勝並びにご発展、ご臨席賜りました皆様方のご多幸をご祈念申し上げ、式辞といたします。

令和5年3月3日
学校法人山村学園 山村国際高等学校
校長 中山 達朗